インターネットを選ぶときに「WiMAX」「Wi-Fi」「無線LAN」「ポケットwifi」など専門用語がたくさん出てきます。「違いがサッパリわからない」と思う人もいますよね。
違いがわからないまま、割引やキャシュバックなどキャンペーンをつられて使った結果、「速度が遅い」「自宅じゃ全然繋がらない」と後悔する人も少なくありません。
料金も重要ですが、用語の意味や回線ごとの特徴や違いを理解したうえで、自分のライフスタイルにあったインターネットを選ばなければ意味がありません。
「WiMAX」や「Wi-Fi」「無線LAN」「ポケットwifi」などのインターネット用語の解説を交えながら、ライフスタイルにあったインターネットの選び方を紹介します。自分のライフスタイルにぴったりなインターネット選びに役立ててくださいね。
1.似ているようで全然違うWiMAXとWi-Fi
WiMAXとWi-Fiはどちらも無線でインターネットに接続できます。「どっちも同じ」と思ってる人がほとんどでしょう。実は、同じ無線通信であってもWiMAXとWi-Fiは、全然別物なのです。まずは、WiMAXとWi-Fiの違いを理解しましょう。
1-1.広いエリアでインターネットが使えるのがWiMAX
WiMAXは、無線通信技術の規格の一種。もともと光回線やADSL回線が引けない地域の代替手段で誕生したインターネット回線です。そのため、提供エリア内であれば、建物や地域を超えた広範囲でインターネットが利用できます。
WiMAXは、UQコミュニケーションズが提供するインターネット回線です。「WiMAX」と名のつくサービスはたくさんありますが、UQ WiMAX以外はすべてUQコミュニケーションズから回線を借りて通信サービスを提供しています。
WiMAXでインターネットを使うにはプロバイダ契約が必要です。プロバイダから支給される専用ルーターがなければインターネットに接続できません。専用ルーターは、持ち運び型の「モバイルルーター」と据え置き型の「ホームルーター」と2種類あります。一般的に「WiMAX」と呼ばれるものは、持ち運び型のモバイルルーターです。
WiMAXのモバイルルーターは、パソコンやスマートフォン、プリンタ、PSPなど様々なデジタルデバイスに接続できます。スマートフォンとWiMAXを繋げば、通信量が節約できますよ。
1-2.Wi-Fiはビルや敷地内と狭い範囲のインターネット環境
Wi-Fiとは、無線で自宅やビル、敷地内でインターネットに接続できる環境のこと。Wi-Fi=無線LANと思って問題ありません。
狭い範囲でのインターネット環境という意味なので、バッファローやエレコムなど通信機器メーカーでは、無線ルーターを無線LANやWi-Fiと紹介しています。これも、Wi-Fiと無線LANの違いがわかりづらい理由の1つでしょう。
自宅でWi-Fiを構築するには、光回線とプロバイダに契約して、無線ルーターを用意する方法が一般的です。最近は、ほとんどの光回線やプロバイダの料金プランに無線ルーターのレンタル代が含まれています。基本的に無線ルーターは自分で買う必要はありません。
自宅をWi-Fiが使えると、パソコンやスマートフォン、タブレットなど様々なデジタルデバイスに接続できます。定額使い放題の光回線なので、スマートフォンの通信量を気にする必要はありません。
■Wi-Fiの豆知識 厳密にはWi-Fiは、異なるメーカーの無線機器同士のインターネット接続を保証する規格を指します。昔はメーカーごとに無線機器の通信規格が違っていました。 通信規格が違うとインターネットに接続できないため、異なるメーカーの無線機器でも通信できるよう「Wi-Fi」という規格が決められたのです。そのため、各メーカーの無線機器に「Wi-Fi」というロゴをつけていた時代がありました。 しかし、今の無線機器は「IEEE802.11」という国際標準規格を採用しているため、「Wi-Fi」のロゴはついていません。もちろん、メーカーが違う無線機器同士でもインターネットに接続できます。 |
2.ポケットwifiとはモバイルルーターの総称
ここまでの説明でWi-Fiは、「敷地内と狭い範囲のインターネット」と理解できたでしょう。しかし、「ポケットwifi」という用語もあるので、「ますます違いがわからない」と混乱している人もきっといるはずです。
ポケットwifiは、一般的にWiMAXやポケットWi-Fiなどモバイルルーターの総称として使われています。実はポケットwifiは大きく分けて次の4種類に分類されます。
- WiMAX
- ポケットWi-Fi
- クラウド系ポケットwifi
- ソフトバンク系ポケットwifi
提供エリアや速度、速度制限の条件はそれぞれ違います。4種類のポケットwifiの特徴を詳しく見ていきましょう。
2-1.WiMAXは速度が速いが障害物に弱いのがネック
WiMAXは、WiMAX2+とau 4G LTE回線が使えるポケットwifiです。UQ WiMAX、Broad WiMAX、GMOとくとくBBなど20社以上のプロバイダがあります。全プロバイダで同じ回線を使っているため、提供エリアや速度、速度制限の条件の違いはありません。
提供エリアは都市部中心
提供エリアは、国内のみで47都道府県の都市部が中心です。地方の郊外では使えないエリアも少なくありません。都市部でも地下では圏外になるケースが多いです。
WiMAXの電波が障害物に弱いため、室内やオフィス街、マンションの高層階ではインターネットに繋がりにくいことも。au 4G LTE回線に切り替えると全国各地で利用できますが、速度制限の条件が厳しくなります。
平均実効速度は20~60Mbps
端末で最大速度が異なりますが、現時点では1.2Gbps。実効速度は平均20~60Mbps前後と、他のポケットwifiよりも速い傾向にあります。
利用者の9割がギガ放題プランを利用
ほとんどのプロバイダで次の2種類の料金プランを用意しています。
- 月間無制限のギガ放題プラン
- 1か月7GBまでの通常プラン
WiMAXユーザーの9割がギガ放題プランを選び、月額料金の相場は3,500~4,500円前後。一部をのぞき、3年契約のプランを用意するプロバイダがほとんどです。
3日で10GB以上使うと速度制限の対象
WiMAXのギガ放題プランの速度制限は条件がゆるく、3日で10GB以上使うと翌日18時~翌々日22時まで約1Mbpsに減速します。
ただし、ギガ放題プランでもau 4G LTE回線を使うと、1か月のデータ量に7GBと制限されます。au 4G LTE回線に切り替えた状態で、7GBを超えたときの速度は約128Kbps。この状態で、WiMAXの回線に戻しても翌月まで制限を解除できません。
2-2.ポケットWi-Fiはワイモバイルのモバイルルーター
ポケットWi-Fiとは、ワイモバイルのモバイルルーターのこと。「ポケットWi-Fi」はワイモバイルの商標登録です。そのため、ポケットWi-Fiという単語が出たら、ワイモバイルのモバイルルーターだと思ってください。
対応エリアは全国各地
ソフトバンクの4G回線を使っているため全国各地で利用できます。ソフトバンクの携帯電話と同じ通信網を使っているため、屋内や地下鉄でも繋がりやすいでしょう。
ただし、月間無制限で使えるアドバンスオプションに切り替えると、利用エリアは都市部に限定されるので注意してください。
平均実効速度は15~40Mbs速度
機種によりますが最大速度は998Mbps。平均実効速度は15~40Mbps前後です。ポケットwifiの中ではWiMAXに次ぐ速さでしょう。
他ポケットwifiと比べて料金はやや高め
料金プランは、次の2種類です。
■料金プラン
Pocket WiFiプラン2 | .Pocket WiFi 海外データ定額 | |
月額料金 | 3,696円 | 3,980円+海外利用は90円/1日 |
1か月の通信量 | 7GB | 国内7GB+海外7GB |
アドバンスオプション (月額684円) | 〇 | 〇 |
提供エリア | 国内 | 国内+海外100か国 |
基本的にワイモバイルでは、国内利用は1か月7GBまでしか使えません。月間無制限で使いたい場合は、月額684円のアドバンスオプションに加入します。その場合の月額料金は4,380円。月額3,500円前後で月間無制限で使えるポケットwifiがたくさんあるので、相場と比べてやや割高です。しかも、対応エリアが限定されるので、使い勝手もあまりよくありません。
速度制限の条件はWiMAXとほぼ同じ
1か月に7GB超えると、約128Kbpsに減速します。速度制限を解除するには、500MBにつき500円の追加料金が必要です。
月間無制限のアドバンスオプションでも、3日で10GB以上使うと、当日の18時から翌日1時まで約1Mbpsに減速します。
一部の動画や画像は画質が落ちる
ワイモバイルが安定した通信品質を保つために、下記操作に対して制限をかけることもあります。
・一部の動画や画像ファイルの画質を落とす
・音声通話の品質を下げる
料金が高い割に全体的に使い勝手が悪いため、当サイトではポケットWi-Fiの利用はあまりおすすめできません。
2-3.利用エリアの広さはダントツ!クラウド系ポケットwifi
クラウド系ポケットwifiとは、端末に専用の制御SIMが搭載されたモバイルルーターのこと。代表的なプロバイダによくばりWiFiやMugen WiFi、限界突破WiFiなどがあります。
マルチキャリアなので提供エリアの広さはNo.1
ほとんどの会社でドコモ・au・ソフトバンクと3社の回線が使えるので、日本各地で利用できます。端末に搭載された制御SIMが発信する位置情報から、ネットワーク上にに登録された最適な回線に自動接続します。従来のポケットwifiと違い、1台の端末で海外でも利用できるのはそのためです。
平均実効速度は20~30Mbpsと少し遅い
最大速度150Mbps。平均実効速度も20~30MbpsなのでWiMAXよりやや遅めです。速度が出ない分、大手キャリアの携帯電話の通信網を使っているため、地下や屋内でも繋がりやすいでしょう。
料金プランは1種類で月額料金の平均3,500円
ほどんどの会社で2年契約の無制限プランのみの提供です。月額料金の相場は3,500円前。契約期間のない「縛りなしプラン」を提供するプロバイダもあります。
基本的には速度制限なし
基本的に日数・月間の速度制限がありません。完全ギガ使い放題です。ただし、不正通信やネットワークを占有するレベルの大容量通信を行った場合は、約384Kbpsまで減速します。一度、制限がかかると翌月まで解除できません。
便利な反面、通信品質はまだ不安定
端末の位置情報を基に接続する回線を自動的に切り替えるため、移動中に電波の接続状態が悪くなるとの声も少なくありません。利用者が急激に増えたせいか、ネットワークに負荷がかかり、通信トラブルが起きやすい傾向にあります。便利な反面、従来のポケットwifiと比べて通信品質が不安定な点がデメリットでしょう。
2-4.種類豊富なソフトバンク系のポケットwifi
ソフトバンク系のポケットwifiとは、ソフトバンクの回線を使ったモバイルルーターのこと。代表的なプロバイダにNOZOMI WiFiやSAKURA WiFi、STAR WiFiなどがあります。
提供エリアは日本各地
ソフトバンクの携帯電話の同じ通信網を使っているため、日本中で利用できます。携帯電話の通信網なので、地下鉄や屋内でも通信品質は安定しています。
平均実効速度は10~40Mbps前後
機種に左右されますが、最大速度は150~612Mps。平均実効速度は10~40Mbps前後です。
縛りなしプランと2年契約のプランが多い
縛りなしプランか2年契約のプランを提供するプロバイダがほとんど。20・30・50・100GB・無制限プランを用意するプロバイダが多く、月額料金の相場は2,000~4,000円前後と思ってください。
ただし、縛りなしプランは違約金が無料な反面、初期費用はやや高めです。「事務手数料+端末登録料」を請求するプロバイダだと、初期費用が7,000円前後する場合もあります。
速度制限は翌月まで解除できない
プランの月間通信量を超えた場合、約128Kbpsまで減速します。一度、減速するとほとんどのプロバイダで翌月まで解除できません。
月間無制限プランでも、1日2GBなど速度制限を設けるプロバイダが多いです。無制限プランは不正通信に限らず、1か月に100~200GB以上使うと速度制限がかかることも珍しくありません。
3.利用パターン別におすすめのインターネット回線3選
回線により速度や対応エリア、速度制限の条件が違います。回線の特徴を理解したうえで、自分のライフスタイルに合うインターネット回線を選びましょう。最後にインターネットの利用パターンに合わせて、おすすめのインターネット回線を紹介します。
3-1.自宅利用でマルチに使える光回線+Wi-Fi
主で自宅でインターネットを使う人におすすめするのが、光回線+WiFi。次のメリットがあります。
- 最大速度は1Gbps。平均実効速度は100~300Mbps前後と高速通信
- 定額完全使い放題
- 応答速度を表すping値も平均15~30ms前後と速い
- Wi-Fi接続でも高性能のルーターなら一軒家や3LDKと広い家でも電波が届きやすい
こうしたメリットから基本的に何の操作をしても問題なく使えると思ってよいでしょう。特に高画質の動画でスポーツ中継や映画を見たい人、格ゲーなどの対戦ゲームで遊びたい人にはおすすめですよ。
ただし、次のデメリットもあります。
- 申し込みから回線工事まで1~2週間かかるので、すぐにインターネットが使えない
- 回線工事に立会いが必要なこともある
引越しが多い人やすぐにインターネットを使いたい人には、あまりおすすめできません。
3-2.首都圏在住で外出先中心で使うならWiMAX
外出先で使う機会が多く、首都圏に住む人におすすめするのがWiMAX。おすすめする理由は次の2つです。
- まっすぐ動く電波の特徴から、障害物が少ない屋外での通信は速い
- 首都圏全域(山間部を除く)ではほとんどのエリアで使える
他のモバイルWiFiよりも速度が出やすいので、ストレスを感じることなくインターネットを利用できるでしょう。
ギガ放題プランの速度制限の時間も短く、減速しても約1Mbpsは出ます。次の操作ならそこまでストレスを感じることもありません。
- YouTubeの低速動画の視聴
- ストリーミングの音楽再生
- テキスト中心のWebサイトの閲覧
- LINEやTwitterなどのSNSの閲覧や投稿
回線工事が面倒ですぐにインターネットを使いたい人、インターネットはネットサーフィン程度しか使わない人にもおすすめですよ。
3-3.光回線とWiMAXのエリア外ならソフトバンク系ポケットwifi
光回線が引けないエリアやWiMAXの対応エリア外に住む人におすすめなのが、ソフトバンク系ポケットwifiです。ソフトバンク回線の人口カバー率は99%。人が住む場所ならほとんどのエリアで使えると思ってよいでしょう。
月間の速度制限がかかると、基本的に翌月まで解除できません。なるべく、100GBの大容量プランか無制限プランのあるプロバイダを選んだほうがよいでしょう。
実効速度は10~40Mbps前後なので、動画やゲームもストレスなく利用できます。ただし、ポケットwifiなので、ping値は平均50~60msと遅めです。格ゲーやFPSでping値の速さが必要なゲームの利用には向いていません。RPGやテーブルゲームなどあまりping値の速さを必要としないゲームなら問題ありません。
まとめ
WiMAXは、建物やエリアをまたいだ「広い範囲のインターネット」。しかし、一般的には、UQ WiMAXやGMOとくとくBBなどが提供するモバイルルーターと思う人がほとんどです。
一方、Wi-Fiは敷地内で使える「狭い範囲のインターネット」です。無線LANと同じと思ってよいでしょう。自宅に光回線を引いてWi-Fiルーターを設置した状態をWi-Fiと呼ぶケースが多いです。ポケットwifiは、WiMAXやポケットWiFiなどモバイルルーターの総称として使われています。
最低限の知識としてWiMAXやWi-Fiの違いを知っておく必要があります。しかし、インターネット選びで大切なことは、自分のライフスタイルにあった回線の特徴を知ることです。当サイトではライフスタイルに合わせて、次の回線をおすすめします。
- インターネットの利用は自宅中心:光回線+Wi-Fi
- 首都圏在住で主に外出先でインターネットを利用:WiMAX
- 光回線とWiMAXの提供エリア外在住:ソフトバンク系ポケットwifi
この記事をきっかけに、自分のライフスタイルに合ったインターネット回線を探してみてくださいね。
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