クラウドSIMとは?ギガ無制限の理由とポケットwifi選びのポイントを解説

クラウド ポケットwifiの基礎知識

2019年に入って、「速度制限なしのギガ無制限」のクラウドSIM搭載のポケットwifiが続々と登場しました。

料金が安く、1台のルーターで国内と海外の両方で利用できます。そのため、クラウドSIMのポケットwifiへの乗り換えを検討する人がたくさんいます。

しかし、クラウドSIMのポケットwifiは登場して日が浅い通信サービスです。「本当にネット使い放題なの?」「地方でもつながるの?」と不安に思う人も少なくありません。また、「どの会社も同じ見えて違いがわからない」という声も……。

今回は、ギガ無制限が実現するクラウドSIMの仕組みや従来のポケットwifiにないメリット、デメリットを調べてみました。それに加えて、プロバイダを選ぶときのポイントやおすすめのプロバイダを5社紹介します。

1.クラウドSIMとは?ルーター1台で海外でも使える仕組みを解説

旅行

クラウドSIMとは、中国のuCloudlink社が開発した通信技術です。ネットワーク上にあるクラウドサーバに、世界各国の通信会社のSIM情報が登録されています。専用の制御SIMが内蔵された通信機器が1台あれば、通信機器が発信する位置情報をもとにクラウドサーバ上にある最適な通信会社に自動で接続されます。そのため、クラウドSIM搭載のモバイルルーターが1台あれば、海外に行く前に特別な設定をする必要はありません。

「文章の説明だけではわからない」人は下の図を参考にしてください。

ここまでの説明で、「eSIMや従来のSIMカードと何が違うの?」と思う人もいるでしょう。クラウドSIMと従来のSIMカード、eSIMの違いを表にまとめてみました。

■クラウドSIM、従来のSIMカード、eSIMの仕組みを比較

クラウドSIM従来のSIMカードeSIM
SIMカードの挿入不要1枚不要
接続できる

通信会社の数

複数1社複数
接続できる

通信会社の選択

不可1社可能
利用可能な端末GlocalMeやjetfonなど一部の端末スマホ、タブレット、ノートPCと複数の通信機器で利用可能Xシリーズ以降のiPhoneやGoogle Pixel 4など一部のスマホやタブレット

※2020年2月時点の情報

2.従来のポケットwifiと比較!クラウドSIMのポケットwifiのメリット4つ

メリット

クラウドSIM搭載のポケットwifiならではのメリットを4つ紹介します。

2-1.ドコモ・ソフトバンク・auの回線が使える

ほどんどのプロバイダでドコモ・ソフトバンク・auと大手キャリア3社の通信回線が使えます。3社とも全国の幅広い地域で使える携帯電話の通信回線です。そのため、クラウドSIMのポケットwifiは、山間部をのぞき全国各地のほとんどの地域で使えると思ってください。

2-2.ギガ無制限!日数・月間の速度制限がない

クラウドSIMのポケットwifiは、日数や月間の速度制限がありません。従来のポケットwifiと違い1社の通信回線だけでなく、通信環境に応じてクラウドSIM上に複数ある通信会の回線を利用できるからです。

不正利用や短期間で大容量通信を行わない限りは、2020年2月時点では完全にギガ無制限と思って問題ありません。

2-3.料金プランがシンプルで安い

月額料金が3,000~3.500円程度と安く使えるところも、クラウドSIMのポケットwifiのメリットの1つ。しかも、WiMAXや他ポケットwifiのように、「割引は最初の数か月だけ」「契約更新後は料金を値上げ」する会社はほとんどありません。契約期間中の月額料金がずっと定額なので、毎月のインターネット代が計算しやすくて便利です。

クラウドSIMのポケットwifi各社の月額料金を表にまとめてみました。プロバイダを選ぶ際の参考にしてみてください。

■クラウドSIMのポケットwifi各社の月額料金

プロバイダ月額料金その他費用契約期間
どんなときもWiFi3,480円事務手数料3,000円2年
よくばりWiFi3,450円事務手数料3,800円2年
めっちゃWiFi3,480円事務手数料3,000円2年
Mugen WiFi3,280円事務手数料3,000円2年
限界突破WiFi3,500円事務手数料0円2年
FUJI WiFi3,480円~事務手数料3,000円なし
Chat WiFi3,380円事務手数料3,980円

デバイス登録料:4,500円

なし
hi-ho GoGo Wi-Fi3,355円事務手数料3,000円2年
クラウドWiFi3,380円事務手数料3,980円なし

※2020年2月時点の情報

2-4.海外100か国以上で利用可能

1台のルーターで海外100か国以上で使えることも、クラウドSIMのポケットwifiならではのメリットです。ルーターをそのまま持っていけば、自動で現地のプロバイダに接続するため、渡航前に国際ローミングやWi-Fiの設定変更をする必要もありません。

ただし、国内利用のようにギガ無制限ではありません。1日300MB~1GBと使える通信量の上限が決まっています。利用料金は日割り計算となり、1日約700~2,000円と渡航先で異なります。現地に行く前に公式ホームページで、料金がいくらするのか調べておきましょう。

3.ここが残念…クラウドSIMのポケットwifiのデメリット4つ

デメリット

残念ながらクラウドSIM搭載のポケットwifiにもデメリットがあります。4つのデメリットを一緒に確認しましょう。

3-1.接続する回線を選べない

クラウドSIMのポケットwifiは、複数の通信会社が利用できますが、接続する通信会社を自分で選ぶことはできません。ルーターの位置情報から、クラウドSIMのサーバ側で最適な通信回線を自動で選択する仕組みとなっているからです。

マルチキャリアと宣伝しておきながら、実際にはソフトバンク回線につながるケースが多いようです。

クラウドサーバ上にあるプロバイダのSIM情報に自動でつながることから、楽天モバイルの回線につながることも……。

回線が切り替わるときや移動中に、速度が遅くなることも珍しくありません。

3-2.ルーターが1機種しか選べない

クラウドSIM搭載のルーターが少ないため、ほとんどのプロバイダでuCloudlink社の「U2s」しか選べません。限界突破WiFiでは「jetfon P6」、Mugen WiFiのアドバンスプランの「G4」を使っています。まれに「G3」や「U2」を使うプロバイダもあります。

2020年2月時点で日本で使える代表的なクラウドSIM搭載ポケットwifiルーターのスペックを表にまとめてみました。

■クラウドSIM搭載ポケットwifiルータースペック表

U2sG3G4jetfon P6
最大速度下り:150Mbps

上り:50Mbps

下り:150Mbps

上り:50Mbps

下り:150Mbps

上り:50Mbps

下り:150Mbps

上り:50Mbps

連続通信時間約12時間約15時間約12時間約15時間
同時接続台数5台5台5台8台
重さ約149g約240g約188g約162g
サイズ127 x 65.7 x 14.2 mm126.5 x 65  x 

19mm

136  x 72.2  x 

12mm

152.9  x 74.2 x 

8.5mm

スクリーンなし4.0インチ5.0インチ5.7インチ

※2020年2月時点の情報

最大速度はどれも同じなので、平均実効速度も各社で大きな違いはありません。下りが20~30Mbps、上りが5~15Mbps出ると思ってください。

一般的なポケットwifiルーターでは、通信量の確認や各種設定の変更をスクリーンから行います。しかし、U2sにはスクリーンがありません。ブラウザの管理画面でないと、通信量の確認や設定変更ができないためちょっと面倒です。電波の接続状態やバッテリー残量は、端末背面のランプから確認できます。

3-3.速度制限は完全にゼロではない

クラウドSIMのポケットwifiは、基本的に日数・月間の速度制限はありません。しかし、次の状況に当てはまるときは、約384Kbpsまで低速化します。

■速度制限の対象となる動作

①ネットワークを占有するような大容量通信
違法ファイルのアップロードやダウンロードなど不正利用

2019年11月以降のTwitterで、「速度制限がかかった」との投稿を見かけるようになりました。

2はともかく、1が原因で速度制限の対象となったのかもしれません。上記ツィートに記載されたプロバイダを含め5社に速度制限がかかる基準を聞いてみました。

どんなときもWiFi

不正利用やネットワークを占有するような大容量通信でない限りは、速度制限はかかりません。Twitterの投稿者の使用状況はわかりませんが、おそらく電波の状態が悪くて速度が遅くなったときに「速度制限がかかった」とは判断されたのでしょう。

ネットワークを占有するような大容量通信が具体的にどんな動作をさすのか、お答えできません。しかし、長時間動画を投稿するぐらいでは、通常は速度制限の対象となりません。

限界突破WiFi

不正利用と疑われる操作をしたときに速度制限がかかる場合があります。普通に使う分には速度制限がかかることはないので安心してください。

よくばりWiFi

「容量無制限」「速度制限なし」でサービスを提供しているため、通信量の上限は設けておりません。ただし、著作権協会のような第三者期間や警察から、「不正や違法など犯罪行為と思われる通信があった」と連絡が入ったときは、よくばりWiFiの判断で速度制限をかけることもあります。

クラウドWiFi

過去に一部のユーザーで、通信量150GBで速度制限の対象となりました。現在はメンテナンスを行ったため、速度制限がかかることはありません。ただし、短期間で下記操作を行うと、クラウドSIMのサーバを管理する通信事業者が、膨大なデータ量の消費や異常な通信量と判断して速度制限をかける可能性があります。

  • 高画質や超高画質の動画を毎日長時間視聴
  • データ通信量の大きいファイルを多数ダウンロード・アップロード

一度、速度制限がかかると翌月1日0時まで解除されません。

Mugen WiFi

電話とメールでサポートに問い合わせてもつながりませんでした。300GB以上使って速度制限がかかった人が、Mugen WiFiのユーザーサポートに問い合わせた結果をTwitterに詳しく投稿しているので、そちらを参考にしてみてください。

 

速度制限の対象となる動作の判断は、Mugen WiFiではなくクラウドSIMのサーバを管理する通信事業者が行っているようです。Mugen WiFiでは、1日10GB程度の通信量が通常利用とですが、普通にインターネットを使う分には十分な通信量でしょう。

上記は別の利用者の投稿ですが、1か月で300GB以上使った場合に速度制限がかかるわけではないようです。しかし、速度制限の対象となる動作や通信量の基準値が明確でないので、利用者にとって不便なことに変わりありません。

3-4.実効速度の違いでプロバイダを選べない

プロバイダごとの実効速度の違いが正確に分からない点も、クラウドSIMのポケットwifiのデメリットの1つ。

クラウドSIMのポケットwifiは、次の2社から通信設備を借りてインターネットを提供しています。

  • クラウドSIMのサーバを管理する通信事業者
  • ドコモ、auなどクラウドSIMにSIM情報を登録する通信会社

格安SIMと同じMVNOです。格安SIMでは、ドコモ・au・ソフトバンクから借りた回線の使える通信量が決められています。決まった通信量の範囲内でしか通信ができません。格安SIMの会社ごとに実効速度や回線の込み具合が違うのはそのためです。

クラウドSIMのポケットwifiもMVNOなので、プロバイダ各社に「通信会社から割り当てられた通信量の上限や実効速度に及ぼす影響」について質問しました。その結果、各社から「契約に関する内容なのでお答えできません。実効速度はベストエフォートなので、通信環境や時間帯に左右されます」との回答を頂きました。

格安SIMのように申し込み前に、プロバイダごとの実効速度の違いがわからないのは少し不便です。しかし、インターネットの口コミを見る限りだと、各プロバイダで実効速度に大きな差はない様子。2020年2月時点では、どのプロバイダを選んでも、実効速度の違いはないと思ってよいでしょう。

4.選ぶときのチェックポイントは「料金」「サービス内容」

チェック

クラウドSIMのポケットwifiのメリット、デメリットからプロバイダを選ぶときに注目すべきポイントは、「料金」と「サービス内容」といえます。

  • 料金:事務手数料、月額料金、解約金、オプション料金
  • サービス内容:契約期間、サポートの営業時間と対応の早さ

2020年2月時点で、クラウドSIM搭載のモバイルルーターを提供する会社は、uCloudlink社とjetfon社ぐらいです。機種が少ないので、多くのプロバイダがuCloudlink社の「U2s」を使っています。利用するルーターが同じなので、端末の性能に違いはありません。実効速度もプロバイダごとの通信量の違いが明示されていないので、利用者は調べようがないです。

大手キャリアの携帯電話と同じ通信回線を使っているため、提供エリアの違いもほぼないと思ってよいでしょう。大容量通信とみなす操作や通信量の明確な基準を各社で公開していません。そのため、速度制限の基準がプロバイダ選びの判断材料となりません。

プロバイダ選びに困ったときは、料金とサービス内容の2点に絞ってチェックしてみてください。

5.料金とサービスが抜群のおすすめプロバイダ5選

おすすめ

最後に料金とサービスが良いクラウドSIMのポケットwifiを5社紹介します。会社ごとの違いがわからなくて選べない人は、参考にしてみてください。

5-1.事務手数料は0円!初期費用を安くするなら限界突破WiFi

初期費用を安くしたい人におすすめなのが限界突破WiFiです。通常、ポケットwifiに申し込むと初月に3,000円程度の事務手数料を支払わなければなりません。しかし、限界突破WiFiは、事務手数料と端末代が無料なので初期費用が一切かかりません。

その他の限界突破WiFiの特徴は次の通り。

■限界突破WiFiの特徴

メリット

  • ルーター「jetfon P6」はスマホ感覚で使えて高性能
  • 契約終了後の端末返却は不要
  • 一部店舗で対面サポートや端末受け取りも可能

デメリット

  • 2年以内の解約は違約金18,000円と高い
  • 海外利用の通信量の上限が、30日間で3GBと少ない
  • 店舗で申し込めば料金の支払いを口座振替にできるが手数料が20,000円と高い

5-2.端末の故障も安心!補償オプション込みでもお得なよくばりWiFi

端末が故障したときに高額な補償金を支払いたくない人は、有料の補償オプションの料金が一番安いよくばりWiFiがおすすめですよ。よくばりWiFiは、月額380円の端末補償オプションに加入すれば、月額料金が最大2か月間無料になります。そのため、補償オプション込みの2年間の実質料金は、88,060円と業界最安値です。

その他よくばりWiFiの特徴をまとめてみました。

■よくばりWiFiの特徴

メリット

  • 6,000円キャッシュバックをはじめキャンペーンが多い
  • 契約期間のないプランが選べる
  • サポートの対応が早い。メールの返信は平均2時間以内

デメリット

  • 契約更新後の解約でも9,500円の違約金が発生する
  • 無料で解約できる契約更新月が1か月しかない
  • 解約申請から翌月末の契約終了なのですぐに解約できない

5-3.料金を口座振替で払いたい人はどんなどきもWiFi

月額料金が3,980円とやや割高になりますが、どんなときもWiFiでは口座振替で料金の支払いができます。Web経由の申し込みで料金の支払いに口座振替が選べるクラウドSIMのポケットwifiは、2020年2月時点ではどんなときもWiFiだけです。

その他のどんなときもWiFiの特徴をまとめてみました。

■どんなときもWiFiの特徴

メリット

  • 通信状態が悪いときは、違約金無料の解約サポートが利用できる
  • 月途中の申し込みは、初月の月額料金は日割りで請求
  • 25日までに解約申請すれば、当月中に解約できる
  • 有人チャット、メール、電話とサポート窓口が多くて対応が早い

デメリット

  • 契約更新後は月額料金が500円値上がりする
  • 解約サポートなしの解約は違約金が高い。26か月目以降も違約金は9,500円

5-4.契約期間の縛りがイヤな人はクラウドWiFi

2年契約の縛りがイヤな人にぴったりなのがクラウドWiFiです。1か月以上使えば、いつ解約しても違約金は発生しません。しかも、月額料金も3,380円と他社と比べて安くてお得です。

その他のクラウドWiFiの特徴は、下記を参考にしてみてください。

■クラウドWiFiの特徴

メリット

  • 契約期間なしのポケットwifiによくある端末登録料がない
  • 月途中の申し込みだと、初月の月額料金は日割りで請求
  • サポートの対応が早い。メールで問い合わせると当日中に返信が来る
  • 海外利用は1日1,000円以下で使える国が多い

デメリット

  • 事務手数料が3,980円と高い
  • 端末補償オプションに未加入だと端末交換代が25,000円と高い
  • 海外利用は、1日2,000円以上と料金が高い国もある

5-5.海外利用で安く使うならめっちゃWiFi

旅行や出張などで海外に行く機会が多い人におすすめなのが、めっちゃWiFiです。中国、韓国など東南アジア17か国の1日(1GB)の利用料金は850円。他の国も1日1,250円で使えてお得です。

■めっちゃWiFiの特徴

メリット

  • 24か月以内は9,800円、25か月目以降は無料と解約時の違約金が安い
  • 端末補償オプションはないが、故障時の交換代が5,000円と安い
  • 月途中の申し込みだと、初月の月額料金は日割り請求

デメリット

  • 運営会社スマモバのサポート窓口はあるが、めっちゃWiFi専用の窓口がない
  • 契約後にキャンセルできない

結論:クラウドSIMは一番使いやすいポケットwifi

クラウドSIM搭載のポケットwifiのプロバイダは、たくさんあります。しかし、どの会社も利用するルーターが同じなので、各社のメリット、デメリットに大きな違いはありません。

■メリット

  • マルチキャリアなので対応エリアが広い
  • 日数・月間の速度制限がないのでギガ無制限
  • 料金プランがシンプルで安い
  • 海外100か国以上で利用可能

■デメリット

  • 接続する回線を選べない
  • ルーターの機種が選べない
  • まれに速度制限がかかることもある

プロバイダごとの違いを強いて挙げるなら、「料金」と「サービス内容」ぐらいです。次の条件に当てはまる人にクラウドSIM搭載のポケットwifiはおすすめできます。

  • 光回線やWiMAXがつながらないエリア在住
  • 同時接続できる端末台数が少ないので1人暮らし
  • 他ポケットwifiの速度制限がイヤ
  • お得な料金でポケットwifiを使いたい

プロバイダ選びに迷った人は、この記事で紹介した5社を候補に申し込みを検討してみてください。

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